Part 2


2003年3月30日 制作

2010年6月13日 更新

by Yoshida

こんばんは、こんばんは、もひとつおまけにこんばんは。

ここは、NHKの人形劇「ネコジャラ市の11人」中・後期放送に関するページです。ポンポン♪


★ Part2 もくじ ★


3. 主なエピソード

(1) バンチョ市長の歌とエピソード

(2) 1971年6月の放送「シーラのカン太郎登場の巻」

(3) 1971年10月の放送「シラケラー来訪の巻」

(4) 1972年1月末の放送「冬将軍到来〜シンギング・アイスの巻」

(5) 1972年3月の放送「一寸丹間守トム助の巻」

(6) 1972年9月第1週の放送「記憶喪失の巻」

(7) 1972年11月の放送「アカンベロンの恐怖の巻」

(8) 1973年3月の放送〜最終回〜

(9) その他、放送日時不明のエピソード


♪「冬将軍到来」の項に加筆しました。(2010.4.13)

♪バンチョ・ホーホケ卿の歌を完成させました。(2010.4.29)

♪解決洗面鬼の歌、魔法使いの歌を修正しました。(2010.4.29)





3. 主なエピソード


(1) バンチョ市長の歌とエピソード


「ネコジャラ市の11人」は「ひょっこりひょうたん島」と同様のミュージカル形式で、多数の歌が登

場した。中でも藤村有弘さんのバンチョ市長はとりわけ歌が好きで、何かというとすぐに歌い出し、

往年の「デタラメ外国語芸」で鍛えた(?)ノドを披露していた。

筆者は、以下の歌を記憶している。



夜の場面だったと思う。市長がひとりになって、

(最初しんみりと) ♪ひとはわたしを、お人好しだと呼びます〜

(突然、大声で) 構いません! わたしの血が、そうさせるのです〜

(続いて音頭調で) ♪ひとはわたしを、お調子者と呼びます〜

(再び大声で) 結構です! わたしの血が、そうさせるのです〜



という歌を歌っていた。「ひょうたん島」を見ていた方は、ガバチョの歌い方をイメージしてほしい。

市長の性格と施政方針がよく表れている歌だと思う。

宇野誠一郎さんによるこの曲は、2003年4月に発売された「ひょっこりひょうたん島ヒットソングコ

レクション」のCDに収載された「托鉢ガバチョの歌」と同様、イ短調の中山晋平風メロディーであ

る。(ついでに言えば、♪おれっち、シーラのカン太郎〜の歌も、托鉢ガバチョの一部のフレーズ

とよく似ている。)

「わたしの血がそうさせる」という表現は、子供心にとっても新鮮だった。

ただ、筆者は残念ながらこの歌が出たときの状況を全く覚えていない。

歌の内容とストーリー進行からいって、バンチョがシラケラーに吸血鬼としての自信を取り戻させ

ようとして、市民からそのお人好しぶりを非難されたときに歌われたのではないかと思う。



バンチョ氏のエピソードについては、他に以下の情報をいただきました。



★ 市長就任のいきさつ(1970年9月放送)

バンチョ氏は「日本脳炎」の蚊に刺されて発病、危篤状態になる。

(わざとらしいタンコブがおでこに出来ていた。)

瀕死のバンチョは、うわごとで、「チョウになりたい、チョウになりたい」というばかり。

人間がチョウになれるはずもないので、アップルたちは困り果てる。

さらににバンチョは「チョウになりたい、チョウになりたい、市長でもいいからチョウになりた〜い。」

と、うわごとを言う。

これなら叶えてあげられそう…と、バンチョを元気付けたい一心で、アップルは「じゃあ、バンチョ

さんが市長だ。」

と言ったとたん、バンチョはガバッと元気に飛び起きる。

「みなさーん、治りましたぞ! では、私が市長を務めさせて頂きます!!」

…という経緯だったという。

ここで、2代目市長だったヤマチューは特に異議を唱えなかったようだが、それは自分の在職中

に災害で多くの犠牲者を出してしまったことに対して責任を取りたいという気持ちがあったことに

加えて、ネズミやネコが市長になれば、それだけで争いの種になりかねないのだから、次は人間

に任せたいと考えていたからなのかも?


バンチョは、上記の歌のほかにいつも


♪バンバンバンチョ、ホーホケ卿

わ〜たしバンチョ・ホーホケ卿

人と人のもめごと

国と国との争いごと

おまかせください

バンチョが何とかいたします

地球を平和にするために

バンチョ〜 努力を

バンバンバンバンバカバ〜ン

惜しみません!


という自分のテーマソングを歌っていた。

もちろん、これはガバチョの歌のもじりであるのだろう。

(以上、「ヨシタカさん」「KITさん」「博多の隠居さん」提供の情報により構成しました。ありがとうございました。)



★ 「ピノキョーシ病」の治療 (放送時期不明)

バンチョには、「虫と話すことができる」という特技があった。

大災害後のネコジャラ市に、「ピノキョーシ病」という伝染病が流行する。これは主にネズミがかか

る病気で、鼻がピノキオのように伸びて、やがては死に至るという奇病であった。

そこでバンチョは、ネズミたちの体内の病原虫に呼びかけて、釣りをするように虫を体外に出して

ヤマチューたちを治療した。

(このエピソードは「KITさん」からの情報をもとに構成しました。ありがとうございました。)



★ バンチョの「夢のお告げ」(放送時期不明)

ガンバルニャンがミケ・ランジェロ姫と恋仲になったとき、バンチョが彼らの夢に出てお告げを聞か

せようとして、

「ネコたちよ、これから見せる夢はタダの夢ではない。」

と、さももったいぶって言ったといいます。

これを聞いたガンバルニャンは、

「じゃ、お金とるの?」と切り返したとか。

(このエピソードは「KEIさん」提供の情報によります。ありがとうございました。)



★ 月と洗面器 (1971年6月ごろの放送)

ガンバルニャンが何かのきっかけで「月が欲しい」とわがままを言い出したため、バンチョはヤマ

チューが持っていた洗面器を「月」と偽ってプレゼントする。

ヤマチューは当然の如く「これは自分のもの」と言ったが、ガンバルニャンの意向で捕らわれて

しまう。(このころはまだ、噴火前の遺恨が少し残っていたのか?)

ガンバルニャンは、シケン・カーン、ズチャーズ、カラスの勘三郎の3人(匹)の応援を得て、ここで

一気にヤマチューを討伐してしまおうとする。

死罪になることを覚悟したヤマチューは「洗面器はやはり洗面器」と石碑に記して、なおもレジス

タンスを行おうとする。

(ガリレオ・ガリレイの「それでも地球は回っている」の翻案か?)

そこで、事態を重くみたバンチョは急遽「解決洗面鬼」を名乗り、

♪解決(怪傑)センメンキー只今参上〜♪

という歌を歌いながら、ガンバルニャンと「饅頭大食い対決」を行う。

バンチョはこれに勝利してようやくヤマチューを助け出し、ガンバルニャン以下4人(匹)にわがま

まな行動を慎むよう反省させる。喜んだ子供たちは

♪解決(怪傑)おじさんセンメンキー〜♪

と歌って、バンチョを讃えた。

このとき、バンチョは支持を得るために銭湯で市民の背中を流すというパフォーマンスをやったと

もいう。

これは後年(1991年)、元NHKのキャスターが東京都知事選挙に立候補したときに、銭湯で有権

者の背中を流すというパフォーマンスを行った(それでも当選には至らなかった)という事実と、奇

妙に符合するエピソードである。

(以上、「MIURAさん」「白馬さん」提供の情報により構成しました。ありがとうございました。

そういえば、筆者がこの番組を毎日見るようになったのは、このエピソードの時期からだったと思います。)




(2) 1971年6月の放送「シーラのカン太郎登場の巻」


化石から生き返ったシーラカンス、シーラのカン太郎は当初悪役キャラクターで、さんざん暴れた挙

句、バンチョ市長を魚のように「開き」にしようとした。カン太郎が包丁でバンチョの腹を割くと、中か

らソーセージなどがいろいろと出てきて、カン太郎は驚く。

ネコジャラ市でバンチョの葬儀が執り行われる。

ところがバンチョは遺影の枠の中から顔を出して、いつものようにペラペラしゃべっていたので、

カン太郎は再び腰を抜かして恐れ入り、改心してネコジャラ市民となる。

カン太郎に割かれたバンチョの腹は偽物で、実はお腹に張りつけられた紙袋であった。

(以上、「KITさん」提供の情報により構成しました。ありがとうございました。)



(3) 1971年10月の放送「シラケラー来訪の巻」


噴火から1年、復興事業も一段落して、ようやくネコジャラ市は平和な町となる。

何かといえば仲間割れを繰り返していた連中も、バンチョの職務分掌策が奏効して、まじめに仕事

に励むようになった。

そんなとき、バンチョは子供たちの学校の先生に適任者がいないことに気づいて、教師の募集を

行う。

それに応じてやってきたのは、「シラケラー」と名乗る若い男性だった。

彼は陰気な印象の人物だが、教師としては優れていて、子供たちもすぐになついていく。

しかし、シラケラーは吸血鬼ドラキュラの末裔だった。

今は吸血鬼としての自信を失い、おとなしく一般人として暮らしていたのである。



これを聞いたバンチョは、「人間、何よりも自信を持って生きることが大切なのですぞ。」

といい、市民の「お人好しすぎる!」という批判を振り切って、シラケラーを励ます。

そして、バンチョの出身大学の助教授のポストを世話しようとしたのだが、シラケラーはそんなバ

ンチョをすっかり気に入って、逆に吸血鬼の仲間にしようとする。

町を出るために一旦駅に行ったシラケラーは、たまたま汽車が出発した直後だったこともあって

また市に戻り、バンチョの背後から襲おうとする。

そこに、勘三郎が郵便を配達しに市長室にやってきた。

勘三郎はシラケラーを追い払い、バンチョはひとまず難を逃れるが、その郵便はハリウッドの映

画会社からのもので、ネコジャラ市で「吸血鬼」映画を制作してほしいというものだった。

バンチョは、その契約金をミケ・ランジェロ姫から土地を買い取る代金に充てようと考えて、この

話を引き受けることにする。

「しめた!」と思ったシラケラーは、早速バンチョを映画の相手役にして、血を吸う。

(わざわざキバをつけた人形を用意して、早変わりすると、藤村さんが「イヒヒヒヒ!」と悪乗りして

いた。)

そのバンチョがガンバルニャンやズチャーズなどに噛み付いたため、市には次第に吸血鬼が増

えてくる。

ひとり吸血鬼になるたびに、その人は「イヒヒヒヒ。」と不気味に笑い、残りの市民は「キャー!」

と、大袈裟に悲鳴をあげる。

一般人と吸血鬼が4対7ぐらいになったところで週が変わったため、次の週の月曜日の放送の冒

頭で、ナレーちゃんがわざわざ時間を取って、視聴者に状況を説明していた。


吸血鬼がひとり増えるたびに、


♪キミを仲間と呼ばせてくれたまえ〜、おぉ〜

キミを同士と呼ばせてくれたまえ〜、お〜


仲間よ、同士よ、ナ・カ・マ

○○しよう〜

仲間よ、同士よ、ナ・カ・マ

○○○○ ×× ××!


キミを仲間と呼ばせてくれたまえ〜、おぉ〜

キミを同士と呼ばせてくれたまえ〜、お〜



という歌がうたわれていた。



一方、アップルとスイートだけは何とか難を逃れて隠れ家にこもり、対策を立てようとする。

アップルは「吸血鬼ワクチン」を作ろうとしていた。

それをスイートが用意したトマトジュースに加えて、血の代わりにみんなに飲ませようとしたので

ある。

しかし、それを完成させるにはシラケラーの血がどうしても必要であった。



スイートは何とかシラケラーをおびき出すことに成功するが、結局は噛み付かれてしまい、その

可愛い口にキバが生えてしまう。

そのままアップルに噛み付いたので、いよいよ全滅かと思われたとき、シラケラーはアップルたち

が用意していた、ワクチンになる手前のトマトジュースを血と思い込んで飲んでしまう。

それが体内で自動的にワクチンになったので、シラケラーは一般人に戻る。

これを知った市民たちは、逆にシラケラーの血を吸おうと、文字通り「血まなこ」になる。

最初に噛み付いたのは、やはりアップルだった。

正気に戻ったアップルに諭されたシラケラーは、ようやく市民に迷惑をかけたことを反省する。

2人はワクチンを完成させて、残りの市民を一般人に戻す。



「吸血鬼」の映画制作は結局失敗に終わり、バンチョは契約金を返済することになったが、シラ

ケラーに「最後の吸血鬼」講演会と自伝執筆をしてもらい、その収入を充当することで、けりをつ

けた。



(4) 1972年1月末の放送「冬将軍閣下到来〜シンギング・アイスの巻」


1972年1月、ネコジャラ市に作詞家・北山修の父親を自称する冬将軍閣下が居座り、厳しく冷え

込む日が続く。

バンチョは早速対策を立てる。

冬将軍が西部劇映画「シェーン」(1954年)のファンであることを利用して、冬将軍をシェーンに見

立てて「チェーン」という映画を制作し、スイートと一緒に「チェーン、カムバック!」とラストシーンの

ものまねをして、一旦お引取りいただく。

しかし冬将軍はだまされたことに気づき、再びネコジャラ市に戻ってくる。



いつものように猛烈に冷え込んだある夜、バンチョは警察署長のガンバルニャンに、「火の用心」

の夜回りをしてくるように命じる。

ところが、「言葉が凍ってしまう」ほど冷え込んでいたため、ガンバルニャンがいくら声を張り上げ

ても、バンチョには聞こえてこない。

「ひの〜〜〜よ〜〜〜じん!」

「ガンバルニャンさん、ちっとも聞こえてきませんぞ、もっと大きな声を出してください!」

「ひの〜〜〜よ〜〜〜じん!」

「ガンバルニャンさん!」

バンチョは大声でどなる。



その後別の市民が通りかかり、「文字の形をした氷」が道端に落ちているのを見つける。

「こりゃ、何だろ?」と家に持ち帰り、夕食のためにお湯を沸かした鍋に、試しに具と一緒に投入

してみたところ氷が溶けて、上記の

「ひの〜〜〜よ〜〜〜じん!」

「ガンバルニャンさん!」

と、ガンバルニャンとバンチョの大声が鍋から聞こえてきたので、腰を抜かす。

あわてて蓋をして、少し時間を置いてから「もう、いいかな。」と、おそるおそる蓋を開けると、

またしても

「ひの〜〜〜よ〜〜〜じん!」

の大声が鍋から聞こえてきた。

この「鍋に言葉の氷を入れた市民」が誰なのか、筆者は残念ながら記憶していないが、各人の

プロフィールを眺めると、ベンキョーチューがこのエピソードの持ち主として最もふさわしいよう

に思える。



後でこの話を聞いたバンチョは、「うむ、よいアイデアを思いつきましたぞ。」と膝をうち、次の

夜にわざわざ外に出て、「雪山讃歌」「会津磐梯山」「おうまのおやこ」「ぞうさん」など数曲を

大声で歌い、その歌声を凍らせて、「文字氷」をズチャーズ商店に持ち込み、「飲み物に入れ

ると歌いだす氷、シンギング・アイス」と称して売り出す。



今の子供は小学校から英語を学ぶようだが、筆者はこのころ(9歳)はまだ、英語を全くといって

よいほど知らなかったので、これを見ていた筆者は親に、「シンギング・アイスって何の意味?」と

聞いて、それによって「歌う」ことは英語で「sing」と言うことを学んだ。そのために、このお話は藤

村さんの愉快な歌いっぷりとも相まって、記憶に残っているのであろう。

なお、このお話は古典落語か民話に元ネタとなる話があったとも思う。



ネコジャラ市の貨幣単位は「ジャラス」で、シンギング・アイスは1個10ジャラスで売られていた

と思う。(さきの吸血鬼映画制作の契約金は、10万ジャラスだった。)

ヤマチューが仕事帰りにズチャーズ商店に立ち寄り、「会津磐梯山」のアイスを買って、感心して

いた場面もあったようである。

また、週末の最後にナレーちゃんが「わたしも最後の1個を買ってきました。」と言って、飲み物に

氷を浮かべて、藤村さんの歌う♪おうまのおやこはなかよしこよし〜の歌をかけながらお別れ、

という演出もあったと思う。



なお「NHK連続人形劇のすべて」の本によれば、この原理を利用して「ネコジャラ・パック・イン・ア

イス・ミュージック・カンパニー」というレコード会社が作られて、その収益をミケ・ランジェロ姫に支

払う土地代金に充当しようとした、ということになっている。

このエピソードは、あるいは筆者記憶分の次の週の放送ということになるのだろうか。

シンギング・アイスのレベルならばバンチョの歌でも十分市民にウケるだろうが、レコード会社

にするとなると、それだけではいささか心もとないだろうから、誰か他の人を歌手にした可能性

も考えられる。

なお、この長いレコード会社名はナレーちゃんの声を担当していた大村麻梨子さんがパーソナリ

ティを務めていた、TBSラジオの深夜番組「パック・イン・ミュージック」からとられたものである。

初期ストーリーでは、大村さんの他にも、同番組で有名だった野沢那智さんが「ドサ・グレート」

役で参加していたという。また、当初アップルの声だった愛川欽也さんは、この番組の降板後

に「パック・イン・ミュージック」のパーソナリティーとなり、現在に続く人気を得たという。



冬将軍が寒波を吹きまくるうちにガンバルニャンが体調を崩し、重い熱病にかかる。うわ言を発

し、心からネコジャラ市を案じる姿を見た冬将軍は心動かされ、ガンバルニャンに退職金100万

ジャラスを与えて、ネコジャラ市を去る。



(5) 1972年3月の放送「一寸丹間守トム助の巻」


ガンバルニャンは上記エピソードでの収益金を持って、ミケ・ランジェロ姫にネコジャラ市の土地

の買い取り交渉を行おうとするが、ミケはすでに「一寸丹間守(ちょっとたんまのかみ)トム助」

という殿様に売却したという。

やがて一寸丹間守トム助は、小姓の黒井瞳丸(くろいとうまる)を伴ってネコジャラ市に乗り

込んでくる。

早速、バンチョとせんべいの食べくらべ競争をしたらしい。そして、

♪は、は、春のお彼岸に、せん、せん、せん、せんべいの食べ比べ

食べたおせんべの数は、999枚と半分

食いしん坊たちをごぼう抜き、見事優勝しましたぞ(?)

それは余じゃ余じゃ、余余余余余

ちょっとタンマのかみトムすけじゃ。

ちょっとタンマ!


という歌を歌っていたという。



その後、丹間守は「長寿の桃の木」の種をまき、負けたバンチョをその肥料として土に埋めて

しまうが、芽が出ると急成長してバンチョは木の上に押し上げられたという。

これに怒ったヤマチューが、丹間守と瞳丸に切りつけようとしたところ、2人は桃の木に登って

逃げ出し、さらに人工衛星に乗って、雲の上にある「桃の木島」を目指そうとするが、墜落して

市民に捕らえられ、市の乗っ取りをあきらめて反省して、土地の権利書を銭湯の焚きつけとし

て焼却したという。

この殿様の人形は少々作りが甘かったようで、しばしばアゴが外れてしまったが、それもギャグ

のうちとして、そのまま劇を進行させることもあった。


(この項は、「NHK連続人形劇のすべて」の記述及び「むっちゃんさん」、「KITさん」からいただいた情報をもとにして

構成しました。どうもありがとうございました。)



(6) 1972年9月第1週の放送「記憶喪失の巻」


夏休みが終わり、久々に「ネコジャラ市の11人」の放送が始まったが、なぜかテーマソングも

かからず、登場人物はみんな草の上にゴロリと寝ころんでいる。

「あー、のんびりした。命の洗濯をしちゃったわ。」

「脳のシワも伸ばせたしね。」

ここでアップルが、

「ちょっと待って。脳のシワが伸びるということは、その分記憶がなくなっているということなん

じゃないだろうか?」

それを聞いたバンチョが飛び起きて、

「そういえば、わたくしは一体誰だったのでありましょうか。みなさんは、いかがですかな。」と

叫び、全員が記憶喪失にかかっていることがわかる。

結局、ナレーちゃんがこの事態を収拾して、ようやくストーリーが再開する。

ナレーちゃんは、「チロリン村とくるみの木」から始めて歴代の人形劇のテーマソングを順番に

かけていき、そのたびにバンチョ市長以下全員が「あれ? 何か違うような。」と、いかにもわざ

とらしく首をひねっていたようである。

「ネコジャラ市の11人」の旧テーマソングもかかって、「これ、ちょっと古いんじゃない?」

そしてナレーちゃんが最後に現テーマソング(オーマイホームタウンの歌)をかけて、市民は記憶

を取り戻す。

まだ作品の数がそんなに多くない時代だから、成立し得たギャグであろう。

この頃からまた、シュールでハチャメチャなギャグが増えていったようである。

筆者の家では、世間の標準よりもかなり遅れて、1972年の6月にカラーテレビを購入した。

この場面はカラーで見た記憶があるので、その年の夏休み明け最初の放送だったと思う。



(7) 1972年11月の放送「アカンベロンの恐怖の巻」


上記の「記憶喪失」のエピソードは、勘三郎が魔性の蚊に刺されたことから内紛が市に勃発

していた時期に相当するが、4代目市長の勘三郎は、「ネコジャラ駄右衛門」を名乗って文字

通り”野に下って”いたバンチョ率いる市民の激しいレジスタンスを受けてしまい、箱根山銀時

など、「世界山賊協同組合」に加入しているプロの山賊の応援を頼んだものの、結局は市街地

を奪回した市民軍に投降することとなる。

勘三郎は再起を賭して獄中から、「世界山賊協同組合」に加入している(何故か)海賊のヘル

ス・センターと連絡を取る。

ヘルス・センターは、ネコジャラ市にレジャーランドを建設するという目的で、空飛ぶ海賊船に

乗って市にやってきた。

勘三郎や銀時は、そのレジャーランドの建設労働者になるということで話がついた。



一方、ようやく市長に復職したバンチョは世界的海洋学者の海原博士の来訪を受ける。

しかし、ヘルス・センターと海原は裏で結託していた。

海原は、すべての物質を水に変えてしまう試薬「アカンベロン」を開発していた。



★ 「アカンベロン」とは、単に「あかんべー」のもじりというだけではなく、「アクア(aqua)」が「水」

を意味する英語であることもふまえた名前であるということには、放送当時から気がついていま

した。当時、子供向け天文学の本や星座の本がかなり好きだったので、その「水瓶座」の由来か

ら知っていたものと思います。



ヘルス・センターはこれを利用して世界中を水没させて、地球上で唯一残るネコジャラ市の土地

を世界中の富豪に大金で売り、私腹を肥やそうとする魂胆であった。

勘三郎は、そのダシに利用されたのだった。

ヘルス・センターから計画を聞かされた勘三郎は、アカンベロンを散布する装置を空飛ぶ海賊船

に据えつける。

しかし、シーラのカン太郎がその一部始終を見ていて、後年の網乾左母二郎(新八犬伝)よろし


く、「♪おれっち、シーラのカン太郎〜。おめえら、それはよくねえ了見だぜ!」と豪快に啖呵を

切って、この悪だくみをバンチョたちに報告しようとした。

これに怒った海原はカン太郎をとらえて、アカンベロンで水に変えてしまう。



水になる直前、カン太郎は「桃太郎さんが、リンゴを食べながら、のんびりお昼寝していると、金

太郎さんがやってきました。なんじゃらほい。」で始まる意味不明の内容の歌を箱根山銀時の弟

分に覚えさせて、アップルに伝える。

それを聴いたアップルははじめ「ハテ?」と首をひねるが、やがてこの歌が暗号文になっている

ことに気づく。

「森の木の中にアカンベロン」

一派がアカンベロンを隠し持っている場所を示したものだった。

(以上、「なる丸さん」から情報のご提供をいただきました。どうもありがとうございました。)



そういえば、アップルやほかの子供たちがこの歌を幾度も繰り返して歌っているうちに、アップル

が「歌詞を書いてみて、行の一番上の文字を取って読めばよい」ということに気づいた、というス

トーリーだったような気がします。

なる丸さんのご記憶によれば、


「桃太郎さんが

リンゴを食べながら

のんびりお昼ねしていると

金太郎さんがやってきました。

なんじゃらほい。

かにコロッケ

に 豚まんじゅう

アンコロ餅食べて

かくれんぼしよう。

んーと元気に遊ぼっ。」



というものだったようですが、「なんじゃらほい」の前に「の」で始まる文章1行と、最後の行の後に

「べ」「ろ」「ん」で始まる文章3行が加われば、暗号文が成り立つようです。)



カン太郎はいまわの際にこの歌を遺すとともに、手紙を書いて紙飛行機にして飛ばす。拾った

ナレーちゃんが、それをポストに投函して市民に届けた。彼はズチャーズ氏に借金があったた

め、生涯を終えるにあたってそれを返済する目的で、ヘソクリの隠し場所をこの手紙で知らせた

のであった。



アップルたちは世界水没用のアカンベロンを押収することに成功した。

見つかったのは2種類の薬品のビンで、アップルはこれをどのように使うか頭を悩ませる。

そこにスゴミが夜食として、2種類のスープを混ぜ合わせるラーメンを持って来たため、アップルは

この2種類の薬品を混合するとアカンベロンになるということに気づいた。

だが、海原は空飛ぶ海賊船に取り付けた分を使ってネコジャラ市を水没させてしまう。

市民は、ナレーちゃんから筏と盥をもらって反撃する。

これで形勢は一気に逆転するが、なおもしぶとく抵抗する海原一派に手を焼かされたアップル

たちは、ついに最後の手段に及ぶ。

まず、塩を用意してアカンベロンでできた水を凍らせて、市を覆う大きな氷のかたまりを作る。

(アカンベロンでできた水は通常の水より凍りやすい、すなわち凝固点が高いという説明がなされ

ていたと思う。)

そして、これは寒くなってきたことによるものだからストーブ用に薪がたくさんいると言って、銀時を

うまく乗せて、海賊船を解体させる。最後はその薪を使って氷の一部を加熱して融解させて、それ

により発生した水蒸気をエネルギー源とする形で4人(匹)を氷のかたまりに乗せたままコマのよう

に回して、宇宙へと追放する。



海原は、宇宙に飛ばされるときに地球を見下ろして、「地球は美しいなあ。」とつぶやく。

それを聞いた市民は、なぜか急に泣き出してしまう。

誰かが「なんで泣けてくるんだろう?」というと、バンチョが「それは、彼らが真実を言っているから

だよ。」と答えた。

(このエピソードは「KITさん」からの情報により構成しました。ありがとうございました。)

かくして、ようやくネコジャラ市の内紛は終結する。





(8) 1973年3月の放送〜最終回〜

1973年に入ると、クラスの悪童たちと話を合わせる必要上、裏で放送していた特撮番組とかけ

もちの視聴となり、またギャグも高度になっていったため、あまり熱心に見なくなってしまったの

だが、最後の場面は記憶に留まっている。



ネコジャラ市の土地は、古代に宇宙(「モノ星」〜この名称は、藤子不二雄さん=当時は共同

ペンネーム=の1969年の作品、「ウメ星デンカ」のもじりか?)から円盤が落ちた跡だったことが

判明する。

ここでも、アップルの暗号解読術が冴え渡った。

ババ・バロネッタが入手したダイヤモンドにスゴミたちが手をかけたことにより(子供たちは、何

とかガンバルニャンの恋を成就させたいという一心で、バロネッタからダイヤモンドを奪うことを

考えついた。これにより、バロネッタとミケ・ランジェロ姫が他所へ行く旅費を抑え、2人(匹)をネ

コジャラ市に留まらせることができれば、ガンバルニャンとミケの婚約への障害がなくなるという

ことである)、その円盤が再び動き出して市に大きな地震が起きたため、バンチョは市民の安全

を図り、全員市外へと避難させる。

実は、バロネッタが入手したダイヤモンドこそが円盤起動スイッチになっていたのだった。



最後にバンチョが避難しようとしたところで、円盤が飛び立つ。

「みなさーん、さよ〜〜なら〜〜〜。」

「バンチョさーん、行かないで〜〜。」

「さよ〜〜なら〜〜〜。」

「バンチョさーん。」

市民の願いも虚しくバンチョは宇宙へ消えていくのだが、呆然と空を見上げていた市民のひとり

が足元に目を転じると、バンチョそっくりの赤ちゃんが「ホギャ、ホギャ。」と、産声をあげている。

(この声も、藤村さんがやっていた。)

「それじゃ、この赤ん坊と一緒に、またどこかに町を作ろうか。」

ヤマチューが言い、市民は♪ネネ、ココ、ジャラジャラジャラジャラジャーララ…の歌を歌いなが

ら、放浪の旅に出る。

人形つかいの人たちが人形を持ってスタジオから退室する場面がエンディングになった。



(9) その他、放送日時不明のエピソード


 魔法使いの歌

「マ」「ホ」「ウ」のつく言葉を次々に出していく歌で、最初は

♪マントのマ、ホントのホ、…

と無気味に始まっていくが、次第に言葉が長くなっていき、最後には

「マイクロエレクトロニクスのマ!

ホメロス、イリアス、オデッセイのオ!

運否天賦にまかせろのウ!

マイクロエレクトロニクス・ホメロスイリアスオデッセイ・運否天賦にまかせろ魔法!」


という具合に、早口言葉の如くエスカレートしていったという。

(以上、「むっちゃんさん」「白馬さん」からの情報をもとに構成しました。ありがとうございました。)



★ パーティーの歌

これはどこの場面で使われたものかは不明だが、複数の方からご記憶している旨のお話をいた

だいた。

♪パーティーには、あふれている、夢と光と勇気があふれている…

という内容だったそうである。

(「むっちゃん」さん、「ほのふうりん」さんから情報のご提供をいただきました。ありがとうございました。)



★ 百科事典の編纂

あるとき、ガンバルニャンが百科事典「エンサイクロペディア・ガンバルニャ(ン?)」を編纂、発行

しようと企画した。

バンチョの方でも同じような企画があったのか、それともバンチョがガンバルニャンに協力してい

たのかは不明だが、この百科事典にはレコードが付くという設定で、「上野」の項目のために、

バンチョが以下の歌を歌っていた。

♪上野から、上野から、ふるさとへ、ふるさとへ

錦を飾る日はいつか

西郷さんの銅像は、冬と言うのに浴衣がけ

それを見上げるわしたちも、冬と言うのに丸裸




当時はもちろん東北方面への新幹線が建設される前で、国鉄上野駅には東北・奥羽方面に行く

特急・急行列車が、数多く発着していた。

「みちのく」「津軽」など、沿線ごとに「出世列車」と呼ばれる列車があり、集団就職などで上京して

きた若者にとっては、将来独立した暁にはその列車のグリーン車に乗って里帰りすることが一般

的な目標であり、若者を送り出す側の故郷の人たちも、それが「錦を飾る」こととみなしていた時

代である。

作者のひとり、井上ひさし氏は現在の山形県東置賜郡川西町の出身で、米坂線の「羽前小松」

駅を故郷の駅としている。

ちなみにこのレコード制作方法は、カラスの勘三郎がヘッドホンを付けて、聞こえてくる歌に合わ

せてくちばしでせんべい(?)に溝を刻むという先端技術(!)であったという。

(以上、「むっちゃん」さんからいただいた情報をもとにして構成しました。ありがとうございました。)







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